クーリングオフ手続業務を全国からお受けしていると、
同じような勧誘方法で、同じような契約内容のご相談を複数お寄せいただくことも珍しくありません。
ただし、クーリングオフは原則として消費者が事業者と契約した場合が対象なので、
事業者が「事業用のために」「営業のために」契約したものはクーリングオフの対象になりません。
つまり、事業者間の取引はクーリングオフができないこととなります。
そこを狙ってか、個人事業者(自営業)が、コピー機、複合機、電話機、LED照明、ホームページの作成、SEO対策、コンサルティング などを営業用として契約すると、クーリングオフができません。
ただし、サービスとしてクーリングオフの規定を設けている事業者もありますので、その場合はできることとなります。
さて、2月に寄せられた事業者からのご相談で、「ビジネス誌に御社を紹介したい。タレントの○○さんが伺います!」というものが目立ちました。
頑張っている地元企業の方をビジネス雑誌で紹介すると切り出し、取材と称して「雑誌への掲載料を支払ってください」という勧誘につながっていきます。
はじめの電話勧誘の時点で、「5万円程度の掲載料がかかりますよ」という業者もいれば、
全く費用に関しては説明せずに、取材当日にすべてのインタビューや撮影が終わった後に「掲載料がかかります」という業者もいます。
いちばんの問題は、高額な掲載料のことを事前に伝えないことなんです。
たとえば、「5万円の掲載料がかかる」と聞いていたAさんは、そのくらいの費用で芸能人にインタビューされるならということで電話で申し込むと、
当日、「55万円の掲載料がかかります」という話になってしまいました。
担当者の話では、5万円の掲載料だとハガキサイズの記事で小さいので、雑誌の見開きに掲載するには55万円必要と言うのです。
Aさんは、目の前に芸能人(健康番組などで見かける有名男性タレント)が居るので、断ると申し訳ないと思い、渋々契約書にサインしてしまいました。
業者によってはクーリングオフ可能と契約書に書かれていますので、その規定に従って手続すれば契約解除できます。
当事務所でも、契約書に解約規定がある場合は対応できますが、記載がない場合は残念ながらクーリングオフはできません。
さて、前置きが長くなりましたが、一昨日の2月17日に当事務所にも雑誌取材の勧誘電話がありました。
説明によると
「静岡の専門家の方を弊社のビジネス誌で紹介したい。」
「20日(土)に1時間くらい時間をいただけないか?」
「女性タレントがインタビューします。」
ここまでの担当者の話で、お金のことは一切説明がありませんでした。
もう少し話を聞いてみると、タレントとは グラビア などで活躍する方でちょっと意外でしたが、
なかなか掲載料のことが出てこないので、私から聞いてみました。
「クーリングオフ業務も対応しているので、全国の自営業者の方から雑誌掲載についての相談をよく受けます。」
「お宅は掲載料はかからないのですか?」
すると、担当者はこりゃ参ったという感じで笑いながら「6万かかります」と白状した。
それ以外かからないのですか?と質問すると、
「6万円~数十万円まで様々なプランがあります。」とのこと。
はじめからしっかりと説明して、趣旨に賛同した方が双方同意のもと契約すればなんら問題ないのですが、
重要な部分を伏せて勧誘するから、だまされたと思う方が出てきてしまうんですよね。
もっとも事業者として契約される方は、法律を理解していると解釈されてしまいますので、
言った言わないのトラブルになる前に、申込み・契約には慎重になることが必要だと思います。
芸能人には会いたい気もしましたが、私は丁重にお断りしました。
また、機会があったら、余裕があったら、検討してみます。
行政書士 平子幸成
投稿者プロフィール
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1977年5月5日生(40才)
行政書士平子幸成事務所/代表
日本行政書士会連合会
静岡県行政書士会
行政書士会清水支部 副支部長
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